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似顔絵で叶えてあげられること

ある日、「母とその息子二人を描いてほしい」というご依頼をいただきました。親子での似顔絵は、それ自体よくあることです。

依頼者さまから「お電話で詳細をお話ししたい」というお願いがありましたので、LINEの電話機能でお話をお伺いしました。

叶えたいのは生前の夢

お話しを伺うと、

  • 3人ともすでに亡くなっていること
  • 写真は遺影のもの一枚ずつしかないこと
  • 親子は長年生き別れになっていて、生前に会うことが叶わなかったこと
  • 息子の一人が今年亡くなり、法事の席に飾りたいということ

がわかりました。

ご依頼者さま
ご依頼者さま

息子の兄の方は広島、母親と弟は北海道と、遠くに生き別れてしまつて、生前3人がそろって会うことは出来なかったんです。だから、せめて似顔絵のなかで3人が会えたらいいなと思って…

そんないきさつがおありだったとは…。

親子3人が、天国では再会しているだろうけど、似顔絵の中でも再会させてあげられるのは、とても嬉しいことですね。そんな素敵な思いを実現するお手伝いができるなんて、とっても光栄に思います。

しかし、写真が遺影一枚しかないというのが難点です。

写真を送ってもらいましたが、遺影写真をスマホで撮影したもので、ピントもピッタリ合っているわけでなく、若干ぼやけている…。

でも他には写真がないとのことだったので、あるもので最善を尽くすこと、下絵の段階で似てない場合修正は可能だが、他に資料がないので、下絵を似せていく場合にはお客様の協力が必要ということをお話しして、お引き受けしました。

思ったよりも、下絵の完成に苦労しました。

私の感覚で写真から似顔絵を起こしても、お客様から見ると「似てるような気もするけど、ナニカが違う…」ということ。これもよくある話です。私は実際、その人に会ったことがないので、写真からのイメージと、お客様の中のその人のイメージが違うと、全然似てない…ということになります。

こんな時は、通常他の写真を提供してもらい、私の中のイメージの修正を図るのですが、今回は写真がこれ以上ないので、お客様から部分修正の指示を頂くことになります。

でもね、結構難しいんですよ。もういない方のお顔を一生懸命思い出して、似顔絵との相違点を探すわけですから。

まるでモンタージュのように、目や顎、笑いジワまで、少しずつ修正しては確認、修正しては確認、の作業を繰り返しました。

意外なメリット?

修正作業を何度も繰り返し、お客様も大変だろうな、申し訳ないな…と思っていたのですが、お客様から意外な言葉をいただきました。

ご依頼者さま
ご依頼者さま

こんなにじっくり、父親(似顔絵のなかでは兄の方の息子)の顔を思い出すことなかったです。先生にはご迷惑おかけしますけど、なかなか楽しい作業です。

何というポジティブマインド!

こちらも心が救われます〜〜(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

ようやく完成!

実は、一度完成したのですが、どうしても納得できないので描き直してほしいと言われました。

これ以上、追加資料がないのに描き直しても、良いものが描けるんだろうか?と色々考えましたが、あと少しの修正で似てくると思うと言われ、お引き受けしました。一度完成しているので、描き直しには追加料金かかりますと話すと、それは問題ありませんとのこと。

「母親と弟はそっくりなのだけど、兄だけがちょっと…」ということでした。

また下絵から描き直し、お兄さんの目元を集中して修正。こんなに苦労した目元は初めてかもしれません。

ようやく、okいただいた時は心底ホッとしました💦

北海道へ送付

完成品を額に入れて、ギフト包装をして発送。

この瞬間はいつも名残惜しい気持ちです。嫁にだす我が子に「大切にしてもらうんだよ…」みたいな気持ちです(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

届いてすぐ、ご依頼者さまからお電話いただきました。

ご依頼者さま
ご依頼者さま

すごく素敵な絵をありがとうございました!

仏壇に飾ってあるのですが、本当に3人が幸せそうで、ずっと眺めていられます。今回、何度も直していただいて申し訳なかったですが、最高のものが出来て満足しています。あさみ先生にお願いして本当に良かったです!

という、とても嬉しい言葉をいただき、すべての苦労が報われました!

同時に、写真一枚からでもバシッと似せられるよう、もっと精進しないとなと反省。まだまだ未熟だなと思いました。

数ある似顔絵師の中から、私を見つけて下さり、ありがとうございました😊