
先日、人工衛星「てるてる」プロジェクト で木曽天文台を訪れました。
そこで、高校生チームのリーダーを務めた生徒が、涙を流す瞬間に立ち会いました。
この合宿では、星空観測をしたり、世界で3番目に大きなシュミット望遠鏡を見学させてもらったりと、貴重な体験をたくさんさせていただきました。
そして迎えた最終日の最後の時間。木曽天文台の高橋先生の希望で、参加者全員によるフリートークが行われました。
テーマは「子どもから大人へ、大人から子どもへ、言いたいことを言い合おう」。

この場にいた大人たちは、本当にさまざまな経験を積んできた人たちでした。
天文学の専門家、人工衛星の第一人者、高校教師、町工場の社長、映画監督、そして「お顔から魅力を見つける似顔絵師」のわたし。
それに加えて、高校生たちの親たちも参加していました。
一方で、高校生チームは3人。
駒ヶ根工業高校 宇宙研究班の男子生徒2人と、長野高校の女子生徒1人。
みんな、「子ども」ではなく、大人の入り口に立っている存在 でした。
大人たちは、それぞれの人生を振り返りながら、高校生たちに 「夢をあきらめるな」「本当にやりたいことを探しなさい」 と伝えました。
高校生たちも、将来への希望とともに、不安な気持ちを素直に語っていました。
そんな中、駒ヶ根工業高校 宇宙研究班のリーダー を務めた男子生徒が、静かに口を開きました。
「就職するって決めた。だから、これは僕にとって夢を追える最後のプロジェクトかもしれない。」
彼は、中学生のときに母親を亡くし、それ以来、弟たちの面倒を見る立場 になりました。
「弟たちには進学の夢を諦めてほしくない。でも、自分は大学を諦めて、家族を支えるために就職する。」
そう心に決めていたのです。
でも、心のどこかで、
「本当は学びたいことがある」
「でも、自分にはその選択肢はない」
という葛藤があった。
だからこそ、高校生チームの班長に立候補した。
リーダー気質ではなく、人前に立つのも苦手だったけれど、「変わりたい」 という気持ちで手を挙げたそうです。
しかし、彼の中には ずっと苦しみ もありました。
プロジェクトに対する 他のメンバーとの「温度差」 に悩み、
時には チームのためにすべてを背負い込んでしまう こともあった。
そしてこの日、彼はとうとう、その想いを吐き出しました。
言葉とともに、抑えていた感情がポロポロとあふれ出し、涙となって流れていきました。
彼の涙を見て、わたしももらい泣きしてしまいました。
どれだけの想いを抱えて、どれだけの決意でこの場所に立っていたのか。
その重みが、痛いほど伝わってきました。
「夢にはたくさんの道がある」
そのとき、人工衛星「ぎんれい」プロジェクトの渡邉さんが、彼に語りかけました。
「夢にはたくさんの道がある。最短じゃなくても繋がる道はある。君も、就職してからも何かに取り組みなさい。」
彼の目から、また涙があふれました。
もしかすると彼は、ずっと 「大学に行かなきゃ夢は叶わない」「就職したら夢は終わる」 と思い込んでいたのかもしれません。
でも、そうじゃない。
「夢は、一度諦めたように見えても、別の形で必ず繋がっていく」。
そのことに、彼は少し気づけたのかもしれない。
帰りの車の中、わたしは軽い雰囲気で、でも心からの想いを伝えました。
「本当にリーダーとして頑張ったね。すべてが、いつか君の夢を実現する応援になるよ。」
今回の経験は、彼の人生の 大きな扉を開く鍵 になると、わたしは思います。
どんな形でもいい。
自分の未来に繋がる「何か」を、見つけていってほしい。
わたし自身の「夢」もまた、繋がっていた
彼の話を聞いて、わたしはふと、自分の人生を振り返った。
神様は、ずっとわたしに 「人の笑顔を描かせたかった」 のかもしれない。そう思った。
わたしは若い頃、美大にも行かなかったし、アーティストの道も選ばなかった。
自分に才能があるなんて、思えなかったから。
それでも、人生のいろんな場面で 似顔絵を描く機会 が巡ってきた。
何度も何度も、神様からのチャンスボールが投げられていた。
結局、遠回りのように見えても、ちゃんと自分の道に繋がっていた。
それは、彼の人生にもきっと当てはまる。
どんな道を選んでも、どこかで必ず夢に繋がっていく。
だから、彼がこれから歩む道の先に、また新しい夢が生まれることを、心から願っている。