似顔絵で叶える夢

昨年の感慨深い仕事の一つに、長年の夢を似顔絵で制作するというものがあった。それは、自分ひとりではかなえられる夢ではないので、せめて似顔絵で形にしてほしいという願いだった。いろいろと個人的な思いも詰まっていて、単に「似せて描く」という以上のものを求められた。

これまでだったら、そこまでの画力がないから。。。と言って断ったかもしれない。けれど、その人はとても真剣で、どうしても描いてほしいとおっしゃる。私の絵を見て、ピンときて勇気を出して依頼してきて下さった、その気持を思うと、実現させてあげたいという気持ちが勝った。

ここまでは掲載してもOKという許可をいただいて、部分的に掲載。左側に、夢で逢いたい方が描かれている。恋する表情もポイント。車の角度、色あい、背景のグラデーション具合など、すべて事前にたくさんやりとりをして着色した。少しずつ着彩したり、別の紙にグラデーションを作って写真を送り、確認したりした。OKをいただいても、写真と実際では色合いが違ったりするので、実物を見た時にどう思われるかは、いくらOKをもらっても不安だ。私の絵にしては、使用する色がダーク気味なのも、いつもと違う。

だけど、その人の中にある「絵にしたい風景」を聞き出し、描き起こす作業というのは、とてもいい経験になった。「ブルー系」「ピンク系」といっても、その方と私の間には想起する色がまるで違うのだ。二人の中の「色」をすり合わせるのも一苦労。ダークな色づかいでも、暗い絵にならないように細心の注意を払った。こんなことも、実は初めての作業。

絵が完成したときには、文字通り二人で歓声を上げた。「たからものです」と言ってくださった。

それでも実物が届いた時にどう思われるか。あれ、写真と違う、なんてことはないだろうか。

その方が絵にかける情熱を知っているだけに、ベストなものだろうかと自問する。もっともっと、いいものが描けるように練習しなければと思う。

届いたものは、とても気に入ってくださった。大阪の方だったが、広島に来たときにはぜひ逢いたいとまで言ってくださった。ほっと肩の荷が降りる。でも、もっともっと素敵な絵が描ければよかった。もっともっと夢の風景に近づけられたらよかったのに、という気持ちばかりが募る。

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